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コラム
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12月 18, 2023

様式主義から脱却してデータ主義へ 〜セムカンで議会からDXの提案を〜

五十川員申

 こんにちは、五十川員申と申します。私は一般社団法人Code for Kanazawaの創設理事として、2013年の立ち上げ以前から深く関わってきました。そこから日本初となる「5374」、ゴミ収集日を簡単に知るwebアプリの開発でも一翼を担いました。私たちのチームは、行政のデータ活用や、市民のデザインやプログラミングスキルの活用を推進しましたが、行政や地方議会での共感を得るのは難しい時期もありました。 

この状況を変えるため、2015年から約3年半、石川県野々市市の市議会議員として直接行政に関わる経験を積みました。そして、県議選への挑戦もありましたが、選挙は厳しいものでした。それでも、私の議員としての経験から、行政のデジタル化の必要性を感じ、その解決策の第一段としてセムカンを考え今実証実験を行っています。 

 

さて、デジタル庁の主導のもと、2025年までに執行部は業務のデジタル化を大きく進めるという目標が掲げられています。しかし、この流れの中で議会はデジタル庁の主要なスコープ外とされ、その結果、議会のデジタル化は遅れる見込みです。しかし、デジタル化を推進する執行部への議決や提案の役割を担うのは議会であるため、早期の段階でDXに関する知識を深め、前向きな議論を進めるべきだと私は思います。 

実際、執行部でも自治体毎に異なる様式が課題となっている一方で、業務プロセスの標準化を進めている部分も見受けられます。議会としては、この動きを積極的にキャッチアップし、様式主義の枠を超えた新しい取り組みを推進する姿勢が求められています。そして、その取り組みの中で執行部に対する有益な提案を行うことが、今後の議会の役割としてますます重要となってくると思います。 

 

様式主義の限界 

議会の多くは、長年の伝統や様式に縛られて、新しい技術や方法を取り入れることにためらいがあるのが現状です。このような様式主義は、効率の悪さやデータの非統一性をもたらし、意思決定の遅延やミスを生む原因となっています。特に、政務活動費の公開要件を紙ベースの様式で条例で指定している現状では、本当の意味でのデジタル化が難しくなっています。 

 

紙や、個々のWordやExcelの限界

紙や、個々のWordやExcelで作られた情報公開には明らかに限界があります。先日、令和4年度1年分を実証実験で入力してくれた埼玉県戸田市議会の例を取り上げると、セムカンの導入により領収書から報告書までドリルダウンが可能となりました。さらに、各会派での利用状況を割合で比較することができ、市民への透明化を大きく進めることが実現しました。 

 

データ主義の力

データ主義とは、膨大なデータを収集・分析し、その結果をもとに迅速かつ正確な意思決定を行う思考のことを指します。この思考は、現代の急速な変化に柔軟に対応するための必須のスキルとなっています。 

 

セムカンでのDX提案

セムカンは、議会活動の効率化と透明性向上を目指して開発されたツールです。政務活動費の管理や、必要な情報の迅速な取得、そしてデータの一貫性と整合性を保つ機能を持っています。 

  

  • 効率化: トラディショナルな管理方法と比べ、大幅な効率化が期待できます。 

   

  • 透明性: デジタルデータは、一元管理が可能で、その結果、データの透明性が向上します。 

   

  • 黒塗り機能: 個人情報保護のための黒塗りも、煩雑な外部ツールなしでセムカン内で可能です。 

  

セムカンで様式主義からデータ主義へ

  

議会も時代の変化に適応し、新しい技術や思考を取り入れることで、より良いサービスを市民に提供することが求められています。大きな変革期だからこそ、議会からの積極的で前向きな提案が必要だと私は考えています。セムカンを活用し、様式主義からデータ主義へと大きなシフトを実現しましょう。