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7月 18, 2024

いつやる?政務活動報告書の入力

政務活動報告書の作成のタイミングについて

 前回から、政務活動費の透明化についての以下の質問について、ご回答してもらっています。今回は、書類作成のタイミングについて質問したいと思います。

 セムカンでは、支出が発生した時に都度入力することを推奨しています。これは、年度末にまとめて書類を作成することで記憶の曖昧さが発生するのではないか、まとめてやる事での抜け漏れが生まれるのではないかという思いから、そういった事を解消する事の出来るサービスデザインになっています。

 実際にこれまでの返還請求では、どういったミスや指摘が多かったですか。 サービス改善にもつながると思うので教えてください。

政務活動費の管理と報告の重要性:その都度入力の利点とミスの影響

 私自身は、議員の方々が、いつのタイミングで政務活動収支報告書等の作成業務をされているかの実務の現状を知りませんが、最後にまとめて入力するのではなく、その都度入力する方が、漏れやミスを防ぐことができることは、一般的にも、そのように言えると思います。

 もっとも、議員の皆様は大変多忙ですから、そのような中では、政務活動費の入力作業などはどうしても後回しになってしまうというのも理解できるところです。

 これまで政務活動費返還請求訴訟に関わってきた経験から、政務活動費の入力作業についての意見を述べたいと思います。

 まず、監査請求を経て、訴訟提起されているようなものについては、既に、議会事務局や監査委員等のチェックを経ていますから、弁護士のところに来ているものについて、ミスが残っていることはほとんどなく、修正することは非常に稀ではあります。

 ただ、逆にいうと、訴訟となり弁護士のところまで来ても修正が出てくるということは、当初の段階では一定程度のミスがあるのかもしれません。

 政務活動費の中でも、政務活動補助職員の人件費、政務活動に利用する自動車のリース代など、毎月、定型的に支払いが発生するものについては、後日、入力をしたとしてもミスが発生する可能性は低いだろうと思います。 また、議員が市民に向けて県政についての広報活動のために作成している県政報告誌についても、県政報告誌自体が残っており、この県政報告誌に政務活動費を充当することが適法かどうかは、県政報告誌自体を見ればわかりますし、県政報告誌を作成するために印刷代、デザイン代、郵送代などの経費も明確ですから、その都度、入力する必要性が大きいとまでは言えないかもしれません。

政務活動費返還請求訴訟で問題となり、裁判を担当する弁護士として資料が必要だと思うのは、上記のような定型的なものや印刷物等での形が残るものではない支出についてです。 例えば、政務活動のために県外や海外に視察に行った交通費や宿泊費が裁判で問題となった場合、そのような視察によって、どんなことをしてきたのか、県政にとって、どのような意義がある情報を取得することができたのかなどを説明する必要があります。 交通費が安価な近隣県への出張等であれば詳細な説明までは不要かもしれませんが、一般的に観光地と思われている場所や海外などについては、「政務活動にかこつけて、遊びに行ったのではないか」という懸念を払拭する必要がありますので、相当の説明が必要となってくる場合があります。 私自身は、海外に視察に行くことは、日本や地域の発展のために非常に重要なことだと思っていますが、どうしても、「観光目的の旅行ではないか」という目で見られてしまいます。 裁判を担当する弁護士の立場だと、海外でどのような活動をしたのか、どのような有益な情報を取得したのか、これから県政にどのように活かせそうなのかについて、裁判所において詳しく主張したいと思うのですが、海外視察の報告書の記載が少ないこともあり、主張することに苦労することもあります。 おそらく、実際には、いろいろな有益なことがあったのでしょうが、すぐに作成や入力をしなければ、記憶も曖昧になってしまって、報告書の記載内容も薄くなってしまっているのではないかと懸念しています。 海外視察の他、県政報告会などの口頭ベースで話をするものについても、印刷物等の記録が残らないので、政務活動費返還請求訴訟の観点からすると、県政報告会で配布した資料があれば残しておいていただきだいですし、そこで話をした内容が後日、分かるように記録をしておいたいただきたいと思います。このような作業も、その都度、記憶が新しいうちに入力をするとやりやすいのではないでしょうか。

 また、後日まとめて入力となるとミスが発生する可能性も高くなってしまいます。人間がする作業ですから、ミスが発生するのは仕方ないことですが、ミスがあると、他のことについても信用性が低くなってしまうということと、本当はミスなのに、「故意にやったのではないか」という疑念をもたれてしまうこともあります。 せっかく、市民のために活動をされているのに、このような疑念を持たれることは非常に不本意なことだと思いますので、政務活動費の入力については、その都度、対応して頂けると有り難いと思います。