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7月 16, 2024

政務活動費のインターネット公開の重要性とリスクの再考

政務活動費の透明化について

 前回から、政務活動費の透明化についての以下の質問について、ご回答しています。

 政務活動費は使途の透明化がかせられていますが、まだまだ公開することに抵抗がある議員さんもいらっしゃいます。 オンブズマンからの返還請求とこれまで戦ってきた先生として、公開はリスクを高めることに繋がりますか。

政務活動費のインターネット公開の重要性とリスクの再考

 この質問について、前回、積極的に政務活動費の使途をインターネットで公開していくことが重要であるというご説明をしました。

 しかしながら、一方で、ご質問のように、政務活動費の使途を積極的に公開すること、例えば、いつでも、誰でもインタネーットで見れるようにすることは、リスクを高めることになると考えておられる方も少なからずおられることも事実だと思います。

 確かに、政務活動費の使途をインターネットで見られるようにすれば、いろんなことが知られるようになり、それをきっかけとして、不当なクレームや言いがかりを付けられるのではないかと心配されるということは、気持ちとしてはよくわかります。

 しかしながら、インターネットで公開するようになるといっても、従来は見ることができなかったものが見られるようになるのではなく、従来、情報公開請求等の手続きをすれば見れたものが、そのような手続きをしなくても見ることができるようになるということに過ぎません。 これまで、情報公開請求の手続きをしてまで、政務活動費の使途を調査していたのは、オンブズマンやマスコミなどのごく一部の方々だけでした。 しかも、それらの方々は、政務活動費の使途の問題点を探してニュースや訴訟で追及することを目的としているのですから、厳しい指摘があって当然のことと思います。 さらに、現時点では、そのような立場の方々しか、政務活動費の使途を見ていないのですから、そのような方々から厳しく指摘されているという情報しかない中では、一般市民の方には悪い情報しか届かないという状況になってしまいます。

 そうであれば、議員の方から、積極的に政務活動費の使途をインターネットで公開し、どのような活動をしているかを見てもらうことによって、中立的な情報を開示していくのが大事ではないでしょうか。

そもそも、一般市民にとっては、「情報の公開がなされていない」ということが、不審感のもとになっているように感じます。 しかしながら、実際には、情報公開請求の手続きをすることによって、非常に多くの情報を入手することができるのであり、決して隠しているわけではなく、また、隠せるものではありませんから、理論的には既に公開されているといっても良い状況なのかもしれないのですが、残念ながら、そのようには理解されていません。 情報公開請求という面倒な手続きをすることは、一般市民によっては、現実的には不可能といっても良いのであり、したがって、情報は公開されていないと捉えられてしまっています。

もしかしたら、インターネットで政務活動費の使途が公開されることになれば、個人情報などが漏れてしまうのではないかという懸念を持たれている方があるかもしれませんが、通常、政務活動費の使途をインタネーットで公開するときに想定されているのは情報公開請求をすれば取得できる内容に限られているはずですから、不当に個人情報が漏れるのではないかという懸念はありません。

 現実には既に公開されている情報なのですから、情報公開請求という手続き的なハードルをなくすことについて、本来、そんなに心配をする必要はないはずではないでしょうか。

政務活動費返還請求訴訟において、オンブズマンからも、政務活動費の使途が明らかではないという指摘が度々なされております。 もし、政務活動費の使途が、裁判の中で問題視されるようになれば、非常に細かい事情や資料まで提出しなければならなくなることもあります。 ましてや、訴訟で敗訴してしまうようなことになれば、それが仮に、解釈の違いや不注意などに基づくものであったとしても、世間からは政務活動費を不正な使い方をした議員であると見られてしまいます。 そのような事態は極力避けなければならないのではないでしょうか。

 現在でも、情報公開請求をすれば収支報告書や領収書は誰でも見れる状態になっているにも関わらず、インターネットで公開されていないことから、なんとなく、公開されていないような気になってしって、甘い考えになっているところがあるかもしれません。 これが、インタネーットで公開されるようになれば、緊張感をもって政務活動費を使用するようになり、不注意やミスや甘い考えでの政務活動費の使用もなくなるようになるのではないでしょうか。

以上のように、政務活動費の使途をインターネットで公開することは決してリスクを高めるものではないと思います。/p>