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コラム
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6月 17, 2024

政務活動費の透明化について

 

政務活動費の透明化の必要性

 今回は、政務活動費の透明化について、以下の質問をいただきましたので、これについて、ご回答したいと思います。 

 政務活動費は使途の透明化がかせられていますが、まだまだ公開することに抵抗がある議員さんもいらっしゃいます。

 オンブズマンからの返還請求とこれまで戦ってきた先生として、公開はリスクを高めることに繋がりますか?

Circular Image

エイブルコンピュータ
議会BPRアドバイザ
五十川員申

 

 昨今、マスコミで頻繁に報道されている政治資金の問題も、政治活動の内容や政治活動に係る収支が不透明であることからくる不審感が根底にあるように思われます。

 地方議会議員に限らず、議員活動の透明化を推進することは、従来にも増して、市民の信頼性の確保のために不可欠な状況になってきていると感じています。

 

法律と条例による規定

 法律と条例による規定地方自治法の改正により、政務調査費から政務活動費に変更となった際、地方自治法100条16項において、「議長は、第14項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする」と規定されました。

 また、地方自治法の規定を受けて、各自治体の条例でも、政務活動費の使途の透明化について規定されており、例えば、石川県では、石川県政務活動費の交付に関する条例において、「議長は、収支報告書等について必要に応じて調査を行う等政務活動費の適正な運用を期するとともに、使途の透明性の確保に努めるものとする」と規定されています。

 このように、政治活動医の使途の透明化は、法律や条例において明確に規定されるに至っています。

 

市民との協力による政治信頼の回復

 また、政務活動費の使途についての監査請求においても、常に、政務活動費の使途の透明化を推進すべきとすべきとの指摘がなされています。

 その他、各種論文等によっても、政務活動費の使途の透明化の推進が叫ばれております。

 「政務活動費の使途を不透明にしよう」とか、「政務活動費の使途は出来るだけわかりにくくしよう」というような声を聞くことはありませんし、もし、そのようなことを主張すれば大きな批判に晒されることになるでしょう。

 私は、弁護士として政務活動費返還請求訴訟に関与している中で、議員の方々は、地域の発展を目指し、住民の方が暮らしやすい社会にしたいとの思いをもって、昼夜、休みなく、熱心に活動をしておられるということを感じます。

 しかしながら、一部の不心得な議員の影響や悪意はなくとも不適切な行為をしたことが大々的に繰り返して取り上げられることによって、世間一般の方々からの政治家に対する風当たりは非常に厳しいように感じています。

 それは、議員の方々が、多くの一般市民にとって遠い存在であり、何をしているのか分からない、隠れて悪いことをやって甘い蜜を吸っているのではないかという残念なイメージによるところが多いように思います。

 私自身は、議員や政治家の方々と直接お会いする機会があるので、イメージだけで判断しなくてもすむのですが、もし、私も、政務活動費の訴訟に関わることがなかったら、そのような残念なイメージのままであったかもしれません。

 私は、もっと、議員の方々が市民にとって身近な存在となり、どのような活動をされているのか、どのような苦労をされているのかを積極的に知ってもらうことによって、政治に対する信頼が回復し、政治家と市民とが協力できるようになり、日本や地域の活性化につながっていく契機となるのではないかと思っています。

 政務活動費の使途を透明化するためには、政務活動費の収支報告書や領収書をインターネットで公開し、誰でも、いつでもチェックできるようにすることが重要であるといわれます。

 平成28年、富山市議会では政務活動費の不正受給により多数の議員が辞職する事態となってしまいましたが、その後、このような事態を反省して、富山市議会では政務活動費についてインターネットでの公開がなされるようになりましたし、その他にも複数の地方議会でインターネットでの公開が決まっています。

 政務活動費の使途の透明化を推進することは、時代や法律が要請していることでありますし、政治不信を払拭する好機と捉えて、ぜひ、積極的な姿勢で臨んで頂きたいと思います。